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パブロ・サンチェス・オテロ Pablo Sanchez Otero



New Arrival
〔商品情報〕
楽器名パブロ・サンチェス・オテロ Pablo Sanchez Otero
カテゴリ輸入クラシック 新作
品番/モデルトーレスモデル model Torres “La Perdiz” ♯44
弦 長650mm
スペイン Spain
製作年2025年
表 板松 Solid Spruce
裏 板バーズアイメイプル Solid Birdseye Maple
程 度※10
定 価1,760,000 円
販売価格(税込)1,672,000 円
付属品ハードケース黒(Manzano case)

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.6mm/6弦 4.5mm

〔製作家情報〕
パブロ・サンチェス・オテロ Pablo Sanchez Otero(1986~) スペイン北西部のガリシア州の美しい港湾都市ア・コルーニャに生まれ、現在も同地に工房を構える製作家。
もともとは建築を学んでいましたが、机上での製図に終始する作業に飽き足らず、木にじかに触れることから生まれる木工への興味が次第に増してゆきます。これがギターに対する愛情と重なってゆき、地元の工芸専門学校で何年か家具製作とデザインを学んだあと、2009年にバルセロナの製作家 Jean Pierre Sardin 主宰のサマーコースでギター製作を受講。これを機に楽器製作を生業とする事を決心します。その後2011年までの2年間、地元の美術工芸学校の古楽器製作のコースでヴァイオリンとルネサンスリュートの製作を学びます。また2010年と2012年の夏には、彼の彼の製作哲学に決定的な影響を与えることになる、名工ホセ・ルイス・ロマニリョスのシグエンサ講習会に参加。そこでロマニリョス本人の他 Jaum Bosser やステファン・リーズらからもビウエラとスペイン伝統のギター製作法を、また楽器の修復技術について学んでいます。

その間も知識と技術を磨くべく、彼はスペインからイギリス、ノッティンガムシャーのニューアーク=オン=トレントに居を移し、同国のAdrian Lucas, James Listerらからアコースティックやエレキギターの製作を学びます。さらに2013年にはベルギーのAmberesに移り、同地のLa Escuele Internacional de Luteria de Amberes(ILSA)にて楽器修復の学科を終了後、2019年まで同校にて教鞭を執る傍ら本格的に製作活動を展開します。現在は工房を生まれ故郷であるスペイン、コルーニャに移し製作と修復を精力的に行っています。

最大の師であるロマニリョスから受け継いだ、細部まで妥協を許さない繊細な造作、木の個性を活かした落ち着きのある洒脱な意匠、トーレスを基本とするスペイン伝統工法に立脚しながらどこかクロスオーバーな瑞々しい音色の魅力等は現在のスペインの若手の中でも静かに異彩を放っており、国内外で評価の高まりを見せています。

トーレスモデルをメインとするクラシックモデルの他、極めて個性的なデザインのブズーキ、マンドリン、ウクレレ、アコースティックギター等も製作しています。


〔楽器情報〕
パブロ・サンチェス・オテロ製作 トーレスモデル 'La Perdiz' 2025年 #44 新作の入荷です。
彼のフラッグシップモデルとなっているもので、アントニオ・デ・トーレスの銘器 1888年製のSE114をベースに、慎ましくモダンな雰囲気を纏わせたような、瑞々しく個性的なトーレスモデルに仕上がっています。本器に付けられた名前 ’La Perdiz’はヤマウズラの意で、これは横裏板に使用されたバーズアイメイプルのスペイン名‘arce ojo de perdiz’ からとったものだそう。

表面板力木構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、サウンドホールの高音側と低音側にはそれぞれ1枚ずつの薄い補強板と、近接する横板のカーブに沿うように斜めにして1本ずつの短い力木が設置されています。そしてくびれ部より下は左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにV字型に設置された2本のクロージングバーという全体の配置構造で、トーレス作のSE114の設計に忠実に倣っています。レゾナンスはFの少し下に設定されています。

トーレスよりもむしろロマニリョス的な発音特性で、撥弦における弾性が跳躍する粒のようにして音像化され、さらにそこに箱の容量を自然に活かしたようなふっくらとした奥行きが加わった、ナチュラルで凛とした響き。低音は重心をしっかりと感じさせながら、慎ましくも雄弁な中低音を経てきりっとした高音に至るバランスも心地よく、彫りの深い、室内楽的ともいえる音響は自然にポリフォニックな立体感を生み出しています。音色も魅力的で、バーズアイメイプル特有の真綿のような肌理の音像、そのクラシカルな佇まいがなんとも素晴らしい。必要に応じてダイナミックなうねりを生み出し、スペイン製ならではの迫力も十全に備わっているのでコンサートギターとしてのポテンシャルも高い一本です。

全体はセラックによる繊細な仕上げにより、ヨーロピアンスプルースとバーズアイメイプルの組み合わせによる明るい、ほとんど高貴ともいえる外観を引き立てています。ロゼッタなど非常に凝ったデザインながらあくまでも素材(オーク、メイプル、ウォルナット、ポプラ、レバノンセダー等)そのものの色と模様を活かしたナチュラルな意匠で慎ましくアクセントとなり、オリジナルのヘッドシェイプとその裏側に象嵌されたトレードマークの銀杏の一葉、フステーロ製の糸巻に至るまで美しく統一感のあるルックスはやはり魅力的。

ネック形状は薄いDシェイプですがほとんどラウンドに近いほど角の取れた形状をしており、しかも薄いのでかなり左手はコンパクトに感じます。弦高値は3.6/4.5mm(1弦/6弦 12フレット)と高めですが弦の張りが中庸なのでこのままでも弾きにくさはさほどに感じません、サドル余剰は2.5mmあります。重量は1.43㎏。


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