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山野 輝慈 Teruji Yamano



SOLD OUT
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ヘフナー
弦 高:1弦 3.4mm /6弦 4.0mm

[製作家情報]
山野輝慈 1943年大阪生まれ。鹿児島で育ち、のちに上京し黒澤常三郎の工房に弟子入りします。3年間の製作修行のあと23歳で独立。いまも現役で製作を続けています。現在の年間製作本数が1本と言われるほどに寡作家なゆえ、新品中古共にマーケットに出ることの極めて稀なブランドであるだけでなく、その稀少さに見合った高いクオリティを有するものとしてギターファンからは注目を集めてきています。師である黒澤常三郎自身が「最も優秀な弟子」と語るほどに工作技術とセンスの持ち主だった彼のギターは、彼が独立した1960~70年代においてはいま以上に絶対的規範とされたスペインギター(そしてハウザー)的音響への実直なアプローチがうかがえるもので、50年を経た現在でも十分なアクチュアリティを備えたものと言えるでしょう。

[楽器情報]
山野輝慈製作 1972年製 No.072 630㎜ショートスケール仕様のUsed 入荷です。独立して6年ほどの時期の作。おそらく製作時には黄色味をつけて仕上げられていたであろう塗装は経年により飴色に変わり、表面板の緑と赤を印象的に使ったロゼッタなどの意匠、そして横裏板の中南米産ローズウッドとのコントラストが生み出す外観がスペインのマドリッドの作家たちを思わせもする、ある種の威容を感じさせる1本。

表面板の力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に2本ずつ計4本のやや強固に作られたハーモニックバー、このうち一番下側のバーは低音側から高音側に向かって下がってゆくように斜めに設置されており、そしてその下は計9本の扇状力木とそれらの先端を受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置にはほぼそれと同じ範囲で補強プレートが貼られているという全体の配置。斜めに配置されたハーモニックバーが付加されていることや9本の扇状力木(これらは中央に寄り添うように配置されており、さらにそれぞれは約1cm程の幅に高さが1~3㎜ほどと平坦な形状になっている)などから明らかにスペインの名工イグナシオ・フレタの構造を模したものであると言えますが、9本のうちセンターを含む低音側の5本は上述の斜めのハーモニックバーを貫通してその上のバー近くまで到達しているなど、山野氏独自の工夫も見られるものとなっています。レゾナンスはA#の少し下と高めな設定。

全体に太めの音で、ボディの奥底から発音されるように箱が十分に鳴っている感触があります。しかしながらレゾナンスの高めな設定ゆえか重心感覚的にはさほどにどっしりとした印象はなく、低音から高音までフラットな感覚で、自然と高音が前景化するような音響設計になっています。タッチに対する音色変化の反応が良く、多彩な表情が楽しめるところは日本のギターとしては珍しいところでしょう。

表面板の指板脇やサウンドホールの高音側、ブリッジ下部分などやや集中してスクラッチ傷があります。横裏板は演奏時に胸の当たる部分などに摩擦跡や塗装の摩耗等がみられます。全体に細かく浅いものなので外観を著しく損ねるものではなく、年代相応のレベルと言えます。ネックは厳密にはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内。フレットは1~7フレットでやや摩耗ありますが演奏性には影響ありません。ネック形状は薄めのCラウンドシェイプでとてもコンパクトなグリップ感、630mmのスケールと相まって手の小さめな方の演奏性を追求した設定となっています。弦高が現在値で3.4/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)で1弦側はやや高めな設定になっていますが弦の張りが弱めなのでさほどに弾きにくくは感じません。サドルには1.5mmほどの調整余地がありますのでお好みに応じてさらに低く調整することも可能です。糸巻はヘフナー製を装着しており現状で動作状況に問題はありません。



〔商品情報〕
楽器名山野 輝慈 Teruji Yamano
カテゴリ国産クラシック 中古
品番/モデル  No.072 
弦 長630mm
日本 Japan
製作年1977年
表 板松単板 Spruce
裏 板中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
程 度※7
定 価時価
販売価格(税込)330,000 円
付属品ハードケース


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