[製作家情報] マイケル・オリアリー Michael O’Leary アイルランド、キルケニーの生まれ。現在はカーロウ県に工房を構える、同国を代表する製作家。ギター演奏を能くした父親の影響で自身も幼少の頃よりギターに親しみ、やがて木工への興味と両立できる楽器製作へと彼を導くことになります。のちに息子のアレックが工房スタッフに加わり、デザイン・テクノロジーの学士号を有する彼はその知識とイノヴェイティヴな発想をギター製作に応用して着実な成果をあげています。マイケルとアレックの二人はまた同国におけるクラシックギター文化の発展と発信にも積極的で、The Guitar Festival in Ireland を主宰し多くの世界的名手が交流する機会を提供するとともに自身の製作におけるギタリストたちからの極めて有効なフィードバックを獲得できる場としても機能させています。伝統性と同時に革新性に対しても柔軟であった彼らはやがてスペイン的工法とオーストラリアに発祥を持つLattice(格子状)構造によるモダンなスタイルとの融合という発想に至り、コンサートホールにおけるパフォーマンス性の高さと同時に繊細な表現力を併せ持つギターへと着地させます。そのギターは名手ベルタ・ロハスやシャロン・イスビンが愛用し、デビッド・ラッセルが激賞することとなる、現代における優れたギターの仲間入りを果たします。世界的な名声を獲得した後も年に10本にも満たない丁寧な手作りの作業を今も継続しており、マーケットに出ることの貴重な楽器となっています。
[楽器情報] マイケル・オリアリー 2014年製 Used の入荷です。伝統性とモダンの融合を標榜するこのブランドの特徴が構造的にも音色的にも円満に現れた秀作です。内部構造的には、表面板のくびれ部から上はトラディショナルな、下はモダンな設計。サウンドホール上側(ネック側)に2本のハーモニックバーとサウンドホールの直径と同じくらいの幅の補強板を設置。この2本のバーは高音側と低音側とにそれぞれ一か所ずつ開口部が設けられています。そしてホール下側(ブリッジ側)は1本のハーモニックバーを設置。ネック両脇の肩の部分からサウンドホール下側のほうのバーにまで、高音側と低音側それぞれ2本の力木が垂直に交差するように(つまり表面板の木目と同じ方向に)して設置されており、サウンドホール上側の2本のバーの開口部をくぐり抜けるような設計になっています。そしてホール下側バーからボトムにかけてのエリアは9+9本の力木が互いに交差する格子状力木構造(Lattice bracing system)となっておりそれぞれの力木は高さが1~3㎜ほどの薄めの成形で上部がカーボンで補強されています。この格子は表面板の木目に対しおよそ45度の角度で交差しており、ギターを正面から立てて見たとして枡目が菱形になるような配置関係になっています。この表面板のくびれから上部分の構造はホセ・ルイス・ロマニリョスの、そして下側の格子状構造の部分はオーストラリアの製作家グレッグ・スモールマンにその規範を見て取ることができます。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。ボディの組み立てとしては裏板は厚みのあるココボロをアーチ型に成形して(内側にバーは一本も設置していません)塗装はラッカー、表板は非常に薄く塗装もセラックで仕上げられています。また表面板と横板との接合部分には大小のペオネス(断面が三角形をした小型の木製ブロック)を交互にして設置しており、これもまたロマニリョス的構造となっています。
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.1mm /6弦 4.1mm
[製作家情報]
マイケル・オリアリー Michael O’Leary アイルランド、キルケニーの生まれ。現在はカーロウ県に工房を構える、同国を代表する製作家。ギター演奏を能くした父親の影響で自身も幼少の頃よりギターに親しみ、やがて木工への興味と両立できる楽器製作へと彼を導くことになります。のちに息子のアレックが工房スタッフに加わり、デザイン・テクノロジーの学士号を有する彼はその知識とイノヴェイティヴな発想をギター製作に応用して着実な成果をあげています。マイケルとアレックの二人はまた同国におけるクラシックギター文化の発展と発信にも積極的で、The Guitar Festival in Ireland を主宰し多くの世界的名手が交流する機会を提供するとともに自身の製作におけるギタリストたちからの極めて有効なフィードバックを獲得できる場としても機能させています。伝統性と同時に革新性に対しても柔軟であった彼らはやがてスペイン的工法とオーストラリアに発祥を持つLattice(格子状)構造によるモダンなスタイルとの融合という発想に至り、コンサートホールにおけるパフォーマンス性の高さと同時に繊細な表現力を併せ持つギターへと着地させます。そのギターは名手ベルタ・ロハスやシャロン・イスビンが愛用し、デビッド・ラッセルが激賞することとなる、現代における優れたギターの仲間入りを果たします。世界的な名声を獲得した後も年に10本にも満たない丁寧な手作りの作業を今も継続しており、マーケットに出ることの貴重な楽器となっています。
[楽器情報]
マイケル・オリアリー 2014年製 Used の入荷です。伝統性とモダンの融合を標榜するこのブランドの特徴が構造的にも音色的にも円満に現れた秀作です。内部構造的には、表面板のくびれ部から上はトラディショナルな、下はモダンな設計。サウンドホール上側(ネック側)に2本のハーモニックバーとサウンドホールの直径と同じくらいの幅の補強板を設置。この2本のバーは高音側と低音側とにそれぞれ一か所ずつ開口部が設けられています。そしてホール下側(ブリッジ側)は1本のハーモニックバーを設置。ネック両脇の肩の部分からサウンドホール下側のほうのバーにまで、高音側と低音側それぞれ2本の力木が垂直に交差するように(つまり表面板の木目と同じ方向に)して設置されており、サウンドホール上側の2本のバーの開口部をくぐり抜けるような設計になっています。そしてホール下側バーからボトムにかけてのエリアは9+9本の力木が互いに交差する格子状力木構造(Lattice bracing system)となっておりそれぞれの力木は高さが1~3㎜ほどの薄めの成形で上部がカーボンで補強されています。この格子は表面板の木目に対しおよそ45度の角度で交差しており、ギターを正面から立てて見たとして枡目が菱形になるような配置関係になっています。この表面板のくびれから上部分の構造はホセ・ルイス・ロマニリョスの、そして下側の格子状構造の部分はオーストラリアの製作家グレッグ・スモールマンにその規範を見て取ることができます。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。ボディの組み立てとしては裏板は厚みのあるココボロをアーチ型に成形して(内側にバーは一本も設置していません)塗装はラッカー、表板は非常に薄く塗装もセラックで仕上げられています。また表面板と横板との接合部分には大小のペオネス(断面が三角形をした小型の木製ブロック)を交互にして設置しており、これもまたロマニリョス的構造となっています。
格子状構造のギター特有の空気を多く含んだような響きですが音像は基音がくっきりとしており、発音も表面板の震えというよりはボディの容量を十分に活かしながら引き締まった音が出てくるようなスペインギター的感触。モダンギターならではの非常な音圧と鋭敏な反応を備えつつ、あくまでも奏者の自然な感覚でドライヴしてゆくような適度なレスポンスが心地良い。反応の鋭敏さは音色の変化についても言え、それは表情の変化や移ろいというよりは音そのものがタッチによって別のものに変わってしまうかのように純機能的なもの。音像には(特に高音は)柔らかな触感があり、穏やかでそして凛として、音色は常に明るい。和音では深い奥行きとさすがと思わせる迫力が生まれますが、あくまでも音は濁らず、その調和をクリアに聴かせます。全体の音響としてのバランスも各弦各音間の均質性があり、この点でも秀逸な一本です。
裏板の木目に沿って割れの補修あとがありますが、恐らくは出荷前の製作時からによるもので、現状で全く使用には問題ありません。表面板は駒板下の1弦とび跡のほか、わずかに弾きキズなど見られますが軽微なものでほとんど目立ちません。横裏板は先述の割れ補修跡のほかは演奏時の衣服等による細かな摩擦あとのみとなっています。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も良好です。ネックはDシェイプの普通の厚みでフラットな形状。弦高値は3.1/4.1mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには2.5~3.5mmの余剰がありますのでお好みに応じて低く設定することが可能です。弦長は640mm、指板は高音側20フレット仕様。糸巻はカナダの高級ブランドRodgers を装着、こちらも現状で機能的に問題ありません。重量はやはりクラシックギターとしては重く2.42㎏。
マイケル・オリアリー Michael O’Leary Lattice SP/Cocobolo?Shellac / lacquer、640㎜ Rodgers、20f